Kさん夫妻のセルフリノベ(前編)

モールテックスを使ったキッチンが
個性的なセルフリノベの各部をチェックする

キッチンやお風呂、洗面所や書斎、ゲストルームなど、2階建ての建物の多くのスペースをセルフリノベで完成させたKさん夫妻。KBTR Prjectと名付けられたリノベーションの完成見学会が開催されたので取材に訪れました。

物件は山梨県甲府市の中心部にある鉄骨造2階建ての建物です。先日紹介した建築事務所SHOEIのリノベ部門であるR/SHOEIによるDIYサポートシステムを利用してリノベーションを実施しています。このシステムは要所ではプロの職人による作業をお願いしつつ、多くの部分をDIYで作るというオーナーとプロの共同作業的な施工スタイルです。

ここではKさん夫妻(ブログはこちら)がセルフで施工した部分を主に紹介していくこととしました。購入した中古物件の既存の内装をはがしたり、各部の撤去作業などはオーナーご夫婦や友達、さらにはSNS等を通じて知り合った多くの仲間達が協力して実施。イベントのようにリノベーションを実践していったのもオーナー達の人柄でしょう。

セルフでの施工か所も数多く魅力的で興味深い施工が多いので2回に分けてご紹介したいと思います。まずは前編として2階部分を順に紹介していく事としました。

キッチンはモールテックスを
使って個性的な仕上げを施す

2階は大きなフロアをいくつかのパーテーションで区切った構造。リビング、寝室、書斎のあるプライベートスペースが広々とレイアウトされています。元々あった既存の壁はすべて撤去して、ワンフロアのがらんどう状態にしてから、ご夫婦ふたりでレイアウトを考えています。

リビングの中央に設置されたカウンター&吊り収納は大工さんの手によるものですが、2階のシンボル的な存在です。そのカウンターの奥にあるのがキッチンです。キッチンの天板、側板などはすべてモールテックスで仕上げています。コンクリートなどとは違う独特の風合いがこの部屋にぴったりマッチしています。何度も重ね塗りしてサンダーで削るという作業を施して、層状に浮かび上がる表面の雰囲気を出しています。オイル仕上げなどを施して独特のキッチンまわりを作り出しました。リビングまわりのDIYとしては最大の力作と言えるでしょう。

お風呂は既存のタイルを残して
上から施工するセルフ技を実施

2階のお風呂にもモールテックスを使っています。しかも既存のタイルの上からモールテックを塗るという手法を採用しているのも独特。専用のシーラーを塗った上にモールテックスを施工する方法なのですが、モールテックスには防水性があるのですが、万が一割れなどが発生した場合でも下地のタイルを残しておけば水漏れの心配はありません。これもセルフリノベならではのアイデアでしょう。脱衣所のトビラはスライド金具を使ったスタイルを採用するなど、見どころたっぷりの空間に仕上げました。

洗面所にはサブウェイタイルを使っています。比較的安価なタイルを用意してここもDIYで貼っていきました。目地が一直線になる貼り方ではなく、タイルが交互になるように貼ったのもオーナーのご自慢。これもR/SHOEI のDIYサポートシステムでアドバイスや施工の協力を得て完成したパーとだったようです。

アンティーク照明の
光の移り変わり楽しむ

また階段踊り場にはチョークボードペイントをほどしてウェルカムメッセージを書き込んであります。さらに照明にはアメリカンビンテージの照明をレイアウト。夕日の時間から完全に日が暮れるまでの間、刻々と表情を変える照明の光を映し出す壁面。そんな個性的な空間をリビングから眺めるのもオーナーの楽しみなのだとか。

書斎の壁面にはマグネットペイントを施しているのもアイデアです。そのままメモなどをマグネットで貼り付けておけるので実用的でおしゃれな空間を作ることができます。ただし実際に施工したオーナー曰く「マグネットペイントは経験上何度も重ね塗りしないとマグネットがくっつかない」そうです。ちょっと根気が必要かも。

大正時代の照明器具など
各部にこだわりパーツを採用

このお宅は、ここまでにも紹介したきたとおりパーツ類にも気を配っています。2階の寝室には大正時代の照明を使っていたり、スイッチ類につまみ専門店で見つけたベークライト素材を使ったアンティークスイッチを使ったりしています。その一つ一つが部屋の雰囲気を作り、オーナーの個性を部屋に反映させているのだと思います。住めば住むほど、使い込めば使い込むほどに愛着がわく部屋はこうした一つ一つのこだわりが作り出しているのです。

次回は後編として1階の部屋を見ていくこととします。ゲストルームとして利用することを前提としたアイデア満載のお部屋が完成したのでお楽しみに。