大自然の中の手作りカフェ

里山の奥深くにあるカフェは
ハンドメイドのログハウスが印象的

今回は岩手県の某所にあるカフェを紹介します。ただし、場所やメニューなどの紹介は一切無しなのでご注意ください。

幹線道路からはかなり山中に分け入った場所にあるカフェは、手作りされたログハウスが印象的です。木々に囲まれた環境も含めて素晴らしい雰囲気です。気になる読者は写真を手がかりにして、たどり着いてください。このような紹介になったのはショップオーナーの「夫婦ふたりで営業するには現状で手一杯なので、PRしても対応が難しいので……」との思いへの配慮からです。

このカフェは普通にドライブしているだけでは見つけられない場所にあります。国道から逸れて山中をクルマでしばらく走り、ようやく出会える場所にあるのです。カフェにたどり着くまでには小さな目印がある程度で、大々的な案内などはありません。道路もだんだん細くなり、「この先に本当にカフェがあるのだろうか?」と心配になるほどの林道をしばらく走っていると、山中にカフェが忽然と現れます。大自然の中にひっそりと建つ3棟のログハウスが周囲の樹林に溶け込み、異空間に迷い込んだような錯覚を覚えます。それでもこの場所を知っている常連が遠方からもやってくるほどの人気店です。取材に訪れた日も平日ながら多くの客が来店していました。

オーナー自らログハウスを製作
丸太の皮むきからすべてを実施

このカフェに注目したのは、自然の中にある環境だけではありません。ポイントになったのはログハウスをオーナー自らがハンドメイドで作り上げている点です。カフェをはじめとした3棟の建物は木工部分をすべてオーナー自らが手がけて完成させています。

もともとサラリーマンだったオーナー、ある日「家具が作りたい」と思い立って脱サラ、職業訓練校に通って木工を学びました。その後はログハウスメーカーに勤めた後に独立。この場所を探し出してログハウス作りを開始しました。

ログハウス作りに関する技術はすべて独学。書籍などを参考にして作り上げていったそうです。必要な本数のベイマツの丸太を購入して皮むき作業からはじめます。丸太を組み立てていき自らが思い描いた姿のログハウスへと作り上げていったのです。一人で作業するオーナーを助けてくれたパートナーは重機(ユンボ)だったと言いいます。試行錯誤を繰り返してカフェ、工房スペース、ギャラリーの3棟を完成させるまでには2年の歳月を要しました。

カフェ、工房、ギャラリーと
3棟の美しいログハウスが建つ

カフェはログハウスならではの木のぬくもりが感じられる店内で、テーブルや家具類なども隅々にまでオーナー夫婦の思いが行き届いている作りです。サンルームやテラス席も用意され、大自然の中にあるログハウスであることを体感できるのも魅力です。自然を愛でながら、おいしい料理やドリンクを堪能する、他では味わうことのできない空間なのは間違いないでしょう。

さらに、オーナーが冬の間、雪に閉ざされる期間に作った木工作品を展示・販売するギャラリーも敷地内に併設しています。カフェでくつろいだ後にはオーナーが作り上げた数々の木工作品を眺めてみるのも良いでしょう。ギャラリーには二階もあり、ログハウスや周囲の自然を見渡す眺望も楽しめます。

3棟のログハウスを手作りしたオーナーがもっとも気に入っているのが「全体のフォルム」だと言います。山中に広がる大自然の中に建つログハウスのたたずまいが見どころです。「見る角度によって雰囲気も変わります、自然の中で絵に姿を考えて作りました」。季節によって周囲の自然が移り変わり、木立の中にあるログハウスの見え方も変わっていくのも楽しめます。

雑踏を離れて自然の中でランチを楽しむ、といった余裕のあるひとときを過ごすには絶好のカフェ。DIY好きの読者ならば手作りしたログハウスの内外装はどこも興味深いはず。そんな視点でゆったりした時間を過ごすのも良いのではないでしょうか。