キット温室をDIY設置(後編)

アルミ材に設けられたコの字型に
中空ポリカを差し込み固定する構造

前回に引き続き、自宅の庭に温室(グリーンハウス)をDIYで設置する作業を紹介しているこのページ。茨城県にお住まいのFさんのお手伝いで温室キットの製作を楽しんできました。

前編では各パネル組み立て、接合をはじめた段階でお昼休憩に入ったところまでをご紹介しましたした。アルミの柱と中空ポリカーボネートのパネルで構成されるため、ある程度のパーツを接合しないと自立しないのが難しい点ですが、紐などを使って、取りあえずパネルが倒壊しないように固定してしばしの休憩に入りました。

天気も怪しくなってきたので昼食が終わったら急いで午後からの作業を再開します。サイズも床面積=190mm×314㎜、全高は219mmとかなり大きなサイズなので、大人2名でもすべてのパネルが倒れてこないように支えつつ柱や桁をボルト固定しつつ中空ポリカをセットしていくのはちょっと大変。

今回設置した温室のキットはアルミ製の柱や桁と中空ポリカで構成されていると紹介しましたが、両者をセットする方法はコの字形状のアルミ材にぴったりの厚みで設計された中空ポリカのパネルを差し込むスタイルです。コの字型の隙間とポリカはぴったりのサイズに設計されているので差し込んで固定すればガタ付きも無く、しっかりした状態に設置されます。しかし逆にうまく中空ポリカがアルミ材に差し込み切れていない部分があると、あとから差し込むのは難しい構造です。パネル全体が完全に差し込まれていないと判断したら、いったん桁などを外して、いちからパネルの組み込みをやり直す方が速いと言う印象、急がば回れです。

屋根の設置作業で軒木や垂木を固定
屋根設置の通気口も取り付ける

次の作業では四方の壁面を立て込んでいくのと同時に、屋根の頂点になる部分に設置する棟木(素材はアルミですけどね)を設置、さらに両側に勾配している天井の両側へとつながる垂木を設置していきます。これも、各パートを順に作業すると言うよりは、すべてをまとめて組み立てていく必要があるので、2人掛かりです。

屋根(野地板共用)にはやはり軽量の中空ポリカを使います。ここでも垂木と垂木の間に中空ポリカを挟み込んで設置するスタイルです。さらにこのキットには天井に開閉式の換気口が設けられているので、あらかじめパーツとして作って置いたパネルを屋根の一部分に設置していきます。屋根の両端の軒にあたる部分には雨樋を兼ねたストッパー材を組み込みます。

しかしここで一つ重要なミスを犯したことに気づきます。屋根の両端のアルミ材は上下どちらでも設置できる形状だったので、間違って天地逆に取り付けてしまっていたのでした。ある程度作業が進んでから間違いに気づいたため、作業の後戻りができず、かなり苦労して無理矢理パーツを逆転して取り付けることに成功しました。設計図もパーフェクトではありませんがパーツの形状をよく見て、ひとつひとつの作業を間違いなく進めることで、作業の後戻りが無く、結局はスピーディな製作につながるので、特にDIY初心者は慌てること無く確実に組み立てていくことを心がけると良いでしょう。

壁面と屋根の全パネルが整うと
温室全体の強度が一気にアップ

ここまで来れば四方の壁、屋根がドッキングするためようやく温室全体が完全に自立してくれました。グラグラするパネルなどを誰かが押さえておく必要もなくなり、作業効率も一気にアップします(と言っても作業はこの時点でほぼ終盤なのですが)。しかも、当初あれほどグラグラしていた温室全体がいつの間にか強固になっているのに驚きました。いわゆる面で強度を出すパネル工法やモノコック構造と同じ理屈でひとつひとつのパネルは軟弱ですが、組み立てたときに全体の構造で強度を出すという設計が、ここまで完成してみるとよく分かります。

仕上げには各パネルの補強を行う筋交いやコーナー部分の補強パネルなどを設置していきます。さらに天井の換気口と同様にパーツとしてあらかじめ作ってあったスライドドアを設置します。ドアの上部にスライドレールを備え、開閉が可能なドアです。温室全体が少し歪んでいるのもあってドアはピタリと温室の柱に沿ってはくれませんでしたが、大きく隙間が空くことも無く、及第点で収まったと言えるでしょう。

基礎部分との固定で強度をアップ
風にもびくともしない温室が完成

最後の仕上げは土中に設置した束石に固定したベースフレームに、温室全体をボルト/ナットで固定して行く作業です。ツメ状のフック金具を使ってベース部に引っかける構造なので設置はいたって簡単です。強固に固定するためにもなるべく多くの固定ポイントを作っておくのが良いでしょう。より強固な取り付けを目指すならば、温室の下部とベースフレームをタッピングを使って直接固定しても良いでしょう。これで少々の風には負けない頑丈さを確保しました。

途中小雨の降る中、黙々と作業を続けた結果、夕方日没前にはなんとか完成させることができました。作業時間は合計で約7時間。2名が主に作業、さらにサポート1名が難しい作業の部分には手助けに入るという体制でした。いずれもこの手のDIY作業には慣れていないメンバーでしたが、なんとか一日で完成させられました。DIY作業は工程までを楽しめるのがメリットと言えるでしょう。完成後はFさんの趣味である観葉植物(多肉植物)の育成が温室内で始まっているようです。

前編はこちら